蓄音機を楽しむ!

修理のご感想

ポータブル蓄音機(パラゴンNo.35)

千葉県・細井様よりご依頼(2015.11.18)

故障したポータブル蓄音機「パラゴンNo.35」の修理について、梅本さんが主催されているホームページ「蓄音機を楽しむ」にメールでご相談させていただき、その世界の専門家・林靜雄先生の林メカニカルギャラリーで修理していただくことができました。

修理していただく前の状態は、サウンドボックスの一部が割れていたほか、ターンテーブルを止めるストッパーが利かなくなっていることは素人の私の目にも判りましたが、やはり長い年月を経てきた機械のこと、林先生に見ていただくと、他にも故障していたり、部品が欠損していたり、不適切な補修がされている箇所があることなどが判明しました。林先生はこれらの修理や調整が必要な箇所とその方法、掛かる費用の詳細をメールで丁寧に説明してくださいました。

修理といいましても、林先生のそれは、ほとんどオリジナルの状態の復元であります。復元作業を施していただいて私のもとに戻ってきた蓄音機は、見た目にも損傷、故障が痛々しかった箇所が消えていました。

持っている流行歌や歌曲のレコードを掛けてみますと、機能を回復したターンテーブルのオートストッパーによって再生と停止がスムースで、蓋を閉じて演奏するため針の擦れる音がほとんど聞こえないポータブル型としては珍しい構造とともに、当時設計した方の機能を追求した意図が伝わってきました。

再生される音は鮮明さと柔らかさが程よく聴き心地の良いもので、近くで聴くには音量も十分にあります。状態の良いレコードでは、特に歌声と楽器の音の微妙な強弱や余韻がよく聞こえてきます。

およそ80年も前に作られて多難な時代を経てきたこの蓄音機が、見事に甦って素晴らしい当時の音を現代に伝えることができるようになったのは、極めて数少ない専門家でいらっしゃるにもかかわらず、一般家庭の小さな蓄音機の修理までお引き受けくださっている林先生のお力によるものであり、また、ホームページ「蓄音機を楽しむ」を通じて蓄音機に関する情報を一般向けに配信され、相談を受け付けてくださっている梅本さんのお蔭であります。御二方に感謝申し上げます。

●お問合せ・ご相談は梅本まで●
蓄音機を楽しむ!代表:梅本和比己
【E-mail】umemoto@iryo.co.jp
問合せフォーム
※送信内容は梅本宛に届きます